日本酒は地域によってどう違う?各地の代表銘柄もご紹介

日本酒は米と水を原料としているため、地域のお米やそこに流れる水の性質によって味や香りの特徴が異なります。もっといえば、酒蔵の環境や「杜氏(とうじ)」によって引き継がれる伝統的な製造スタイルによっても特徴が分かれます。

今回は、そうした地域別の日本酒の違いについて紹介します。

銘柄の違いでも味わいは多種多様に変わりますが、地域どうしの味の違いや特徴を知ることで、明日からの日本酒選びがさらに楽しくなることでしょう。

「東西」でみた傾向の違い

日本酒の地域差というと、まずは日本列島の東と西、それから都道府県別で違いがわかれていきます。まずは東西の違いから紹介します。

東日本でつくられる日本酒は、軽やかな味わいで、後味がすっきり爽やかなタイプが多いのが特徴的な一方、西日本はふくよかで旨味のある、濃醇なタイプが多いといわれています。そうした傾向を分けるのは、東西の気候条件の違いです。「寒造り」といわれるように、日本酒が最も醸造に適しているといわれているのは、雑菌が繁殖しにくい12月から翌年2月頃までの寒い季節だといわれています。日本酒は酵母と呼ばれる微生物の働きによってつくられるのですが、東北や北陸などのように冬の気温が低い東日本では、酒蔵の室内気温が低いため、酵母の活動はゆるやかになり、西日本よりも時間をかけて発酵が進みます。その結果、きめ細かくて雑味があまり入らない酒質になり、搾った後も熟成が進みにくいため、透明感のあるクリーンな味わいに仕上がります。西日本は比較的温暖な地域が多いため、酵母が活発に働いて発酵も早く進み、米の味わいが濃厚に引き出された酒質に仕上がります。酒蔵の室内気温も高いため、搾った後も熟成が進み、味に深みが増していくのも特徴的です。

ところが、近年は技術の発達によって地域特有の気候条件に左右されることなく、多種多様なタイプを製造することができるようになっているため、昔ほどの明確な違いはなくなってきています。あくまで、大まかな傾向として捉えておくのが良いでしょう。

ここからは、代表的な生産エリア別で特徴を紹介していきます。

東北エリアの特徴

東北や北陸などの寒冷地域には、歴史の長い蔵元がたくさんあります。「南部杜氏」という、日本三大杜氏に数えられる流派の拠点(岩手県石鳥谷町)もこの東北エリアにあります。というのも、先に述べたとおり、気温が低い環境の方が日本酒の製造に適しているからです。昔は冷暖房の設備がなかったため、東北エリアから酒蔵が増えていきました。また、豊かな穀倉地帯と豊富な雪解け水も、盛んなお酒造りを支えてきました。こうしたエリアでは冬場は農作業ができないため、日本酒造りに専念していたともいいます。

▼東北エリアの代表産地別特徴

都道府県 特徴 主な銘柄
秋田県 どっしりとした濃厚なタイプから、趣向を凝らしたモダンタイプまで幅広い。革新的な酒造りを続けている。 新政  刈穂  山本
山形県 個性豊かな酒蔵が多いが、良質な天然水による雑味のない味わいとお米の旨味の共存が特徴的。 十四代 楯野川 出羽桜
宮城県 土地柄、魚介類に合うものが多いのと、手をかけた上質な味わいが多いのが特徴。 伯楽星 黄金澤 日高見
福島県 お米独特のやわらかい甘味が特徴。各蔵が伝統を守りながらもオリジナリティを追求している。 ロ万  奈良萬 寫樂

北陸・関東・甲信越エリアの特徴

全体的な傾向としては、さっぱりしてクセのない淡麗タイプが多いです。しかし標高や地理的な条件が同じ県内でも異なるため、バリエーションが多いのもこのエリアの特徴です。

▼北陸・関東・甲信越エリアの代表産地別特徴

都道府県 特徴 主な銘柄
新潟県 酒蔵数全国1位で、三大杜氏のひとつ「越後杜氏」の拠点。淡麗辛口ブーム発祥の地で、きめ細かくキレイな味わいが多い。 鶴の友  村祐   高千代
石川県 日本酒製造を目的としてつくられる酒造好適米「五百万石」の産地。ふくよかで、甘口の傾向が強いのが特徴。 天狗舞   宗玄   菊姫
長野県 酒造好適米「美山錦」から生まれる高品質な味わいが特徴。香りとお米の甘味のバランスが良い。 天狗舞  宗玄   菊姫
栃木県 日本名水百選の尚仁沢湧水や出流原弁天池湧水から造られる精錬された上品な味わいが特徴。 松の寿  若駒      辻善兵衛

近畿エリアの特徴

日本酒発祥の地といわれている奈良県を含んでおり、その長い歴史から、お酒と関連が深いお寺や神社が多くあります。また、兵庫県は全国で生産量1位の最高級酒米「山田錦」の産地で、日本三大杜氏の丹波杜氏の拠点でもあります。京都伏見にも全国有数の酒処があり、これらは日本を代表する二大銘醸地です。

▼近畿エリアの代表産地別特徴の代表産地別特徴

都道府県 特徴 主な銘柄
兵庫県 全国一の酒産地であることと、歴史に裏打ちされた熟練技で安定感のある品質。雑味がなくキレがあり、食中酒に適したお酒が多い。 富久錦 竹泉  播州一献
京都府 京料理に合う、まろやかで口当たりの良い素朴な味わいが多い。「女酒」とも呼ばれる。 蒼空   玉川  月桂冠
奈良県 吉野・生駒山の伏流水や、大和平野の上質なお米で造られるお酒は、飲みやすくさわやかな味わいが多い。 風の森 八咫烏 篠峯

中国エリアの特徴

瀬戸内海側の山陽エリアと、日本海側の山陰エリアとで特徴がわかれる。全体的な傾向としては、濃い味付けの料理に合わせられる旨口タイプのお酒が多い。

▼近畿エリアの代表産地別特徴の代表産地別特徴

エリア 特徴 主な銘柄
山陰 良質な酒米が多く、お米独特のふくよかな旨味が特徴的。 開春     王祿     日置桜
山陽 旨口のお酒が多い。山陰と比べると、ややすっきりした味わい。 酒一筋   御前酒    東洋美人

以上、地域による日本酒の違いを紹介しました。いかがでしたでしょうか。概観するだけでも、その土地ならではの特徴が日本酒の味わいに影響していることがわかります。もちろん、地域以外にも日本酒を比べる要素はたくさんありますが、ご紹介した各都道府県の代表銘柄を一度試してみると、実際の味わいで大まかな傾向を体感していただけるかと思います。もしかしたら、好きな産地が見つかったり、もっと深堀りしてみたい産地が見つかるかもしれませんね。ぜひ、目安のひとつとしてお役立てください。

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